こんにちは!ころです。
みなさま、「アクセシビリティ」という言葉を聞いたことはありますか?
先日、吉祥寺シアターで上演された《まつもと市民芸術館プロデュース》木ノ下歌舞伎『心中天の網島』アクセシビリティ版を拝見してきました。
実は、これまで「アクセシビリティ」というと、「障がいのある方への配慮」というイメージを持っていました。でも今回観劇して、それだけではないんだと実感しました。
アクセシビリティとは、障がいの有無や年齢、技術的な環境にかかわらず、誰もが情報やサービスにアクセスしやすくする工夫のこと。つまり、一部の人のための特別なものではなく、誰もが恩恵を受けられる取り組みなんですね。
今回の公演では、舞台の上手・下手に60インチのモニターが設置され、セリフがリアルタイムで字幕表示されていました。
さらに印象的だったのが、開演前の木ノ下歌舞伎主宰・木ノ下裕一さんによる舞台説明です。
舞台セットの形や配置、奥行きなどを丁寧に説明するだけでなく、「ここからここまでは○歩です」と実際に歩いて見せてくださったり、途中でマイクを外して、距離によって声がどう聞こえるかまで体感できるように工夫されていました。
舞台説明は、視覚障がいのある方向けに開場前だけ実施されることも多いです(その際は、舞台美術に触れる「タッチツアー」が行われることも!これも素敵な取り組みです)。今回はその内容を来場者全員が共有できる形になっていて、「こういう方法もあるんだ」ととても勉強になりました。
そして、上演中は手話通訳の方がずっと舞台上に立ち、コーラスの出演者と同じ衣装を着て、一人の出演者として作品に存在していました。
「通訳」というより、「作品を一緒につくる表現者」。そんな印象を受けるほど、手話や表情の豊かさが舞台の世界に溶け込んでいました。
終演後には、客席のあちこちで、両手を顔の横でキラキラと動かす「拍手」の手話が見られました。
その光景を見て、「いろいろな人が、同じ作品を同じ場所で楽しんでいるんだな」と感じ、とても温かい気持ちになりました。
吉祥寺シアターでも、近年アクセシビリティ向上の取り組みを少しずつ進めています。だからこそ、今回の公演は学ぶことが本当に多かったです。
「アクセシビリティ」は、誰かのためだけの特別な取り組みではなく、劇場をもっとひらかれた場所にするための工夫なんだと感じました。
こうした取り組みが、もっと多くの劇団や劇場に広がっていったら素敵ですね。
いつか、「アクセシビリティ版」という言葉を付けなくても、それが当たり前になっている劇場が増えたらいいなと思いました。
(ころ)
